物心ついた時から
おかしな行動が多かった父の
認知症には、
なかなか気づきませんでした。
断酒生活を始めてから
父がふらついていると、
”またアルコールを
なんらかの手段で摂取したのか?”
と思い、
料理酒やワインなど
家中にあるアルコールが
隠している場所を確認し
量のチェックをしたりしましたが
こっそり盗んだ形跡は無く
謎なだけでした。
毎日の日課の散歩も
行かない日が増え
温泉も週1回行く程度で、
ずっと寝ている様でした。
仰向けで
イビキ「ガーガー」スタイルが
通常の寝方でしたが
横向きでうずくまって静かに
寝ている事が増えました。
「息してる?」と
疑うほどでした。
そんな頃
父に同窓会のお知らせのハガキが
届きました。
同窓会=アルコールです。
1回も欠かす事無く
出席している父ですから
もちろん参加で返事を出しました。
とても不安でしたが。
きっと
警察から電話があるんだろうなぁ~
と覚悟して。
そして当日
1月でした。
寒いし、徒歩30分程のHOTELが
会場だったので
送迎を申し出てあげたのですが
断られました。
通常、予定の1時間前に行って
誰よりも先に行って酔っ払う父が
予定時間ギリギリに家を出ました。
家を出て1時間くらいすると
「やってなかった。」と
帰って来ました。
そんなはずはない、と思いましたが
中止の連絡も無ければ
「始まってますよ。」の
連絡も無い。
恐らく、同級生の方々もは
アルコール依存症の父が
”来なくてよかった”と
安堵したんでしょう。
それから、父はますます
静かになっていきました。
そのころ母の闘病生活も
同時に進んでいたので
大人しくしていてくれるなら
好都合だと思っていました。
母の余命宣告を受けた日
父に「最後に会わなくていい?」
「お礼、
言っておいた方がいいんじゃない?」
と声をかけてみましたが
「ふんっ」と言って断られました。
そして、通夜の日。
8月の暑い日でした。
父が昼過ぎに
「暑いから先に行って涼んでるから。」
と4時間ほど前に
葬儀場へ歩いて出ていきました。
葬儀場のスタッフの方には、
”迷惑だろうなぁ”と思いましたが
準備に追われていたため
好きなようにさせておきました。
そして、葬儀場に着くと
父が居ない。
スタッフの方に聞いても
誰も来ていない、と言われ
兄姉妹で探しましたが
どこにも居ませんでした。
家から真っ直ぐ
大きい道を進めば
徒歩15分程の場所です。
迷う要素が見つかりません。
仕方なく
父抜きで通夜を終え
帰宅すると
ベッドの中でうずくまって
父が寝ていました。
「どうして、葬儀場に来てなかったの?」
と聞いたら
「葬儀場が無かった。」
と言うのです。
あ、分からないんだな。もう。
散歩が好きで
道に詳しい父が道に迷うなんて
ありえない事です。
”おかしい。”
このとき初めて”認知症”が
頭をよぎりました。
告別式の翌日
また警察署から電話がありました。
道端で寝ていたらしく
保護されたようでした。
お礼を言って帰宅しましたが
アルコールの臭いがしませんでした。
朝晩、冷え込む様になってきた頃
「温泉へ行く」と言って
父は朝から出かけていきました。
でも夜になっても帰ってこないので
パパと探しに行きましたが
見つかりませんでした。
翌日、昼過ぎ
さすがにおかしいと思い
警察に相談しました。
捜索してもらいましたが
どこを探しても見つからなかったのに
夜、帰宅すると
自分の部屋のベッドにうずくまって
父が寝ていました。
警察の取り調べを受けましたが、
記憶が無い様でした。
36時間、行方不明だったのですが
父は12時間出かけていたつもりの
話しぶりでした。
温泉に、居たと言いましたが
防犯カメラに映っていませんでしたし
従業員の方々にも
探してもらっています。
やはりまともじゃないので、
「もう施設に入れるか、GPS付けるとか
対策してください。」と
警察の方に言われてしまいました。
この時、”あっ、ボケているんだな”と
理解、というか、
納得、というか、
しました。
本当にお騒がせしてしまい
申し訳ない気持ちと
警察の方々には、お世話になりまくりで
ありがとうの気持ちが
いっぱいあります。
ありがたい存在と言えば
ご近所の方々です。
昔からある住宅街で、
ほとんど同じ人が住んでいます。
なので、父の奇行も
笑って見過ごしてもらえます。
自治会長さんは、定年後のボケ防止に
自治会の役員(簡単な役)を
くださり
定例会などの集まりや、
準備に必要だからと言っては
連れ出してくれました。
本人もやる気満々で、
楽しみにしていました。
ただ、忘年会や新年会など
アルコールが入ると大変なので
父を帰宅させてから
宴会する様にしてくれていました。
日にちの認識が無いんですが
お正月の行事
お祭りの行事になると
思い出す様で
ひょこひょこと
集会場へ行ったりする時がありますが
自治会役員の方々が
対応してくださるので
助かっています。
警察の方に言われてから
教わった精神科病院で受診
脳の様子、面談などから
認知症と診断してもらい
ケアマネジャー、デイサービス、など
決めていきました。
父の性格、趣味趣向から
合った施設を
ケアマネジャーと相談しながら
慎重に決めていきました。
いろんなサービスがあり
短期間のみの利用もできたりして
本当に助かっています。
地域によって違いがあるとは
思いますが。
アルコール依存症の頃に比べたら
認知症なんてかわいいものです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
次回は SURFING について
綴りたいと思います。
またお付き合い頂けると幸いです。
アルコール依存症から認知症になった父
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